駆けろ!メガネプロダクション

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episode8

EPISODE 8

SNS小説『駆けろ! メガネプロダクション』連載第3話の3を配信!

グラサン、顔を真っ赤に染めてうつむく。ハイテクがそのグラサンに向けて、傘を半分差し出した。

グラサン「いらねえよ! どうせもうずぶ濡れだ!」

ハイテク「心まで? ぷぶふぉぉ~~っ」

グラサン「うるせえ! 性格悪いな、てめえ!」

しかしハイテクはわめくグラサンの腕をつかみ、むりやり傘の中で立ち上がらせた。

 

ハイテク「恨んでるの? 飼い主のこと」

グラサン「……別に。以前、ツーには偉そうなことを言っちまったが、俺自身もよくわかってねえ。けどよ――」

 

グラサンが、自分の傘の下で眠る子猫に視線を向ける。

グラサン「なんだかよお、青グラスもそうだが、ツーやルーキーみてえな若えやつを見てると、恨むのもバカらしくなってきやがる」

 

ハイテク「ああ~、それは、今が楽しいからだと思う」

グラサン「……かもな」

グラサン「……他のやつらに言うなよ?」

ハイテク「へへ~、口止め料は?」

グラサン「あほか」

 

帰ろうとしたグラサンの肩に、ハイテクの手がのせられた。

グラサン「なんだよ? コンビニ弁当代くれえは払ってやるよ」

ハイテク、傘の下の段ボールで眠る子猫を指さして。

 

ハイテク「実はもう一匹、口止めしないといけないやつがいますぜ~」

グラサン「あ~? あぁ……」

グラサンが苦々しい表情で段ボールの横にしゃがみ込む。眠る子猫を指先で少しだけ撫でて。

 

グラサン「しゃあねえな。こいつは俺が直々に見張るとするか」

ハイテク「すべて知られた以上、連れてくしかないもんね~」

 

グラサンが傘をたたんで段ボールを抱え上げると、ハイテクが段ボールとグラサンを傘の下に入れた。

ハイテク「これも、あんたのためじゃないからね~。子猫のため」

グラサン「いちいち言わなくてもわかってるっつーの」

 

ハイテク「……ほんっとに、素直じゃないね」

グラサン「へいへい、うちの猫を傘に入れてくださってありがとうございますよ!」

 

一つの傘に、二人と一匹――。